「社内マニュアルを作らなきゃいけないのに、何から書けばいいかわからない」「業務手順書を整備したいけど、現場が忙しくて手が回らない」――こうした悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。マニュアル作成は必要だとわかっていても、後回しにされがちな業務の代表格です。
この記事では、ChatGPT・Claude・Geminiなどの生成AIを使って、社内マニュアルや業務手順書を効率的に作成する方法を解説します。コピペで使えるプロンプトテンプレートと、実際の出力例を交えて紹介するので、読み終わったらすぐに自分の業務で試せます。

生成AIでマニュアルを作るとは?
生成AIにマニュアルのテーマや業務内容を伝えると、構成案から本文まで一気にドラフトを作ってくれます。ゼロから文章をひねり出す必要がなくなるため、マニュアル作成の最大のハードル「最初の一歩」を大幅に下げられるのが最大のメリットです。
ただし、AIが作る文章はあくまで「たたき台」です。業務の正確な手順や社内固有のルールは、担当者が確認・修正する必要があります。AIに任せるのは「構成と文章化」、人間が担うのは「正確性の担保」。この役割分担がうまくいくと、従来の半分以下の時間でマニュアルを完成させられます。
従来の方法との違いを整理します。
| 比較項目 | 従来の手作業 | 生成AI活用 |
|---|---|---|
| 構成の作成 | 30分〜1時間 | 3〜5分 |
| 本文の執筆 | 2〜4時間 | 15〜30分(+修正時間) |
| 文章の品質 | 書く人のスキルに依存 | 一定の読みやすさを確保 |
| 更新作業 | 該当箇所を探して書き直し | 変更点を伝えて再生成 |
| テンプレート化 | フォーマットを手動で統一 | プロンプトで自動統一 |
注意しておきたいのは、AIが出力した内容には事実と異なる情報(ハルシネーション)が混ざる可能性があることです。特に数値や規程の引用は必ず原本と突き合わせてください。
マニュアル作成の手順(ステップバイステップ)
1. 対象業務とマニュアルの目的を整理する
最初にやるべきことは、「誰が・いつ・何のために使うマニュアルなのか」を明確にすることです。ここがブレると、AIに渡すプロンプトもブレます。以下の項目を箇条書きで整理してください。
・対象業務: 何の手順を文書化するか(例: 経費精算、新入社員の受け入れ手続き)
・読者: 誰が読むか(例: 新入社員、派遣スタッフ、他部署の担当者)
・前提知識: 読者がどの程度の知識を持っているか
・利用シーン: いつ参照するか(初回作業時のみ or 毎回確認する手順書)
・ページ数の目安: 簡易版(1〜2ページ)or 詳細版(5ページ以上)
この整理が終われば、プロンプトの8割は完成したも同然です。
2. プロンプトテンプレートで構成案を生成する
整理した情報をもとに、まずマニュアルの「構成案」をAIに作らせます。いきなり本文を書かせるより、構成を先に固めたほうが手戻りが少なくなります。
以下のプロンプトをChatGPT、Claude、Geminiのいずれかにコピペして使ってください。【 】内を自分の業務に書き換えるだけです。
# 社内マニュアル構成案の作成プロンプト あなたは業務改善コンサルタントです。 以下の条件をもとに、社内マニュアルの構成案を作成してください。 ## マニュアルの基本情報 - 対象業務: 【例: 経費精算の申請から承認までの手順】 - 読者: 【例: 新入社員(業務未経験)】 - 前提知識: 【例: 社内システムの基本操作は研修済み】 - 利用シーン: 【例: 初回作業時に参照し、慣れるまで都度確認する】 ## 出力条件 - 大見出し(章)と小見出し(節)の2階層で構成すること - 各章の冒頭に「この章で読者が理解できること」を1行で記載 - 想定ページ数の目安も示すこと - 「よくある質問(FAQ)」の章を末尾に含めること
このプロンプトで出力される構成案の例を示します。
# 出力例: 経費精算マニュアルの構成案 第1章 はじめに(この章で: マニュアルの目的と対象範囲がわかる) 1-1. このマニュアルの目的 1-2. 対象となる経費の種類 1-3. 申請から振込までの全体フロー 第2章 経費精算の事前準備(この章で: 申請前に必要な準備がわかる) 2-1. 領収書・レシートの保管ルール 2-2. 経費精算システムへのログイン方法 2-3. 勘定科目の選び方 第3章 申請手順(この章で: 実際の操作手順がわかる) 3-1. 交通費の申請手順 3-2. 会議費・交際費の申請手順 3-3. その他経費の申請手順 3-4. 添付書類のアップロード方法 第4章 承認フローと期限(この章で: 申請後の流れがわかる) 4-1. 承認者と承認ルート 4-2. 月次締め日と振込スケジュール 4-3. 差し戻しされた場合の対応 第5章 よくある質問(FAQ) Q1. 領収書を紛失した場合は? Q2. 上限金額を超える場合の手続きは? Q3. 海外出張の経費はどう処理する? 想定ページ数: 8〜10ページ
3. 構成案をもとに本文を生成する
構成案に問題がなければ、章ごとに本文を書かせます。一度に全文を生成させると出力が途中で切れたり品質が下がったりするため、章単位で分けて指示するのがコツです。
# マニュアル本文の生成プロンプト(章単位) 先ほど作成した構成案の「第3章 申請手順」の本文を作成してください。 ## 執筆ルール - 「です・ます」調で統一 - 操作手順は「1. ○○をクリック → 2. △△を入力 → 3. □□を選択」の番号付きステップ形式 - 各ステップに「なぜその操作をするのか」の補足を1文添える - 画像を挿入すべき箇所には【スクリーンショット: ○○の画面】と記載 - 注意事項は「⚠ 注意:」の書き出しで目立たせる - 1つの節は400文字以内に収める ## この章で使う情報 - 経費精算システム名: 【例: 楽楽精算】 - 申請画面の主な項目: 【例: 日付、勘定科目、金額、摘要、添付ファイル】
Claudeを使う場合は、構成案の出力をそのまま次のプロンプトに貼り付けて「この構成に沿って第○章を書いてください」と指示するだけでスムーズに続けられます。Geminiも同様に、前の出力を文脈として引き継いで本文を展開できます。
4. フォーマットを統一して仕上げる
本文が揃ったら、マニュアル全体のフォーマットを統一する仕上げ作業をAIに任せます。
# マニュアル仕上げ用プロンプト 以下のマニュアル本文を、下記のフォーマットルールに従って整形してください。 ## フォーマットルール - 見出しの表記を「第1章」「1-1.」形式に統一 - 操作手順は番号付きリスト形式に統一 - 注意事項には「⚠ 注意:」を付与 - 用語の表記ゆれを統一(例: ログイン/サインイン → ログインに統一) - 各章末に「この章のチェックリスト」を追加 ## 本文 【ここに全章の本文を貼り付ける】

実務での活用例(Before/After)
【Before】手作業でマニュアルを作っていた場合
ある中小企業の総務担当Aさんは、新入社員向けの業務マニュアル10本を3か月かけて作成していました。内訳はこうです。
・ヒアリング: 各部署への聞き取りに1本あたり2時間
・構成検討: 目次と構成を考えるのに1時間
・本文執筆: Wordで4〜6時間
・レビュー対応: 修正と確認で2〜3時間
・合計: 1本あたり約10時間 × 10本 = 100時間
【After】生成AIを導入した場合
同じAさんが生成AIを導入した結果、工程ごとの時間が大きく変わりました。
・ヒアリング: 2時間(変わらず。ここは人間の仕事)
・構成検討: AIで5分 + 確認10分 = 15分
・本文執筆: AIで20分 + 修正30分 = 50分
・レビュー対応: 修正指示をAIに出して15分 = 15分
・合計: 1本あたり約3.5時間 × 10本 = 35時間
100時間が35時間に。約65%の時間削減です。浮いた時間で、Aさんはマニュアルの動画版の作成にも着手できたそうです。
【活用例】ツール別の得意分野
マニュアル作成で生成AIを使う場合、ツールごとに得意な作業が異なります。
| ツール | 得意な作業 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ChatGPT | 汎用的な文章生成、構成案の作成 | 初稿の作成、アイデア出し |
| Claude | 長文の一括処理、既存文書の要約・整理 | 既存マニュアルの改訂、大量テキストの構造化 |
| Gemini | Google Workspace連携、画像を含む情報処理 | Googleドキュメントでの直接編集、画面キャプチャの説明文生成 |
AI導入によるDX推進について詳しく知りたい方は、姉妹サイトDXマスター.JPも参考にしてください。
うまくいかない時の対処法
【対処法1】出力が抽象的すぎる場合
「マニュアルを作って」のような大雑把な指示だと、AIは当たり障りのない一般論を返してきます。対処法は「具体的な業務名」「システム名」「読者の前提知識」をプロンプトに含めることです。
以下のように、情報を追加するだけで出力の具体性が変わります。
# NG例(抽象的な指示) 経費精算のマニュアルを作ってください。 # OK例(具体的な指示) 楽楽精算を使った経費精算の申請手順マニュアルを作成してください。 読者は新入社員で、楽楽精算の使用経験はありません。 交通費、会議費、消耗品費の3種類の申請手順を含めてください。 操作手順は「クリック→入力→選択」のステップ形式で書いてください。
【対処法2】社内独自のルールが反映されない場合
AIは社内の独自ルール(承認フロー、金額上限、特殊な勘定科目など)を知りません。プロンプトに「社内ルール」のセクションを設けて、必要な情報を箇条書きで渡してください。
# 社内ルールを反映させるプロンプト追記例 ## 当社の経費精算ルール(以下を必ず反映すること) - 1件5,000円以上は部長承認が必要 - 領収書の原本は経理部に月末提出 - 交際費は事前申請が必須(事後申請は原則不可) - タクシー利用は22時以降または荷物搬送時のみ可
【対処法3】マニュアルが長すぎて出力が途中で切れる場合
生成AIには一度に出力できる文字数の上限があります。長いマニュアルを一度に生成しようとすると、途中で切れてしまうことがあります。対処法は2つです。
・章ごとに分割して生成する: 「第1章だけ書いてください」「次に第2章を書いてください」と分けて指示する
・「続きを書いてください」と指示する: 出力が途中で止まった場合は、「続きを書いてください」と入力するだけで続きから再開される
【対処法4】表記ゆれが多い場合
複数の章を別々に生成すると、同じ用語でも「ログイン」「サインイン」「ログオン」のように表記がバラつくことがあります。最終段階で以下のプロンプトを使うと、一括で統一できます。
# 表記ゆれ統一プロンプト 以下の文書に含まれる表記ゆれを統一してください。 ## 統一ルール - ログイン/サインイン/ログオン → 「ログイン」に統一 - クリック/タップ/押す → PC操作は「クリック」、スマホは「タップ」 - 添付/アップロード → 「アップロード」に統一 - 上記以外にも表記ゆれを発見したら、統一候補を提示してください ## 対象文書 【ここにマニュアル全文を貼り付ける】
【対処法5】AIの出力が正しいか不安な場合
生成AIは「もっともらしいが間違っている情報」を出力することがあります。特に以下の点は必ず人間が確認してください。
・操作手順の正確性: 実際にシステムを操作して手順通りにできるか検証する
・社内規程との整合性: 金額上限、承認フロー、期限などが最新のルールと合っているか
・法令・コンプライアンス: 個人情報の取り扱いなど、法的に問題のある記述がないか
AIセキュリティや情報漏洩リスクについて詳しく知りたい方は、セキュリティマスター.JPの記事も参照してください。生成AIに社内情報を入力する際の注意点をまとめています。
本記事のまとめ
生成AIを使えば、社内マニュアル・業務手順書の作成時間を大幅に短縮できます。ポイントは「構成案→章ごとの本文生成→フォーマット統一」の3ステップで進めること。そして、AIの出力はあくまでたたき台として、正確性は必ず人間が確認することです。
| やりたいこと | おすすめツール | 難易度 |
|---|---|---|
| マニュアルの構成案を素早く作る | ChatGPT / Claude | ★☆☆(初心者OK) |
| 既存マニュアルを一括でリライトする | Claude | ★☆☆(初心者OK) |
| Googleドキュメント上で直接編集する | Gemini | ★★☆(少し慣れが必要) |
| 画面キャプチャの説明文を自動生成する | Gemini / ChatGPT(GPT-4o) | ★★☆(少し慣れが必要) |
| 社内用語の表記ゆれを一括統一する | ChatGPT / Claude | ★☆☆(初心者OK) |
今回紹介したプロンプトテンプレートは、経費精算以外の業務にもそのまま応用できます。新人研修マニュアル、営業プロセスの手順書、情報セキュリティポリシーなど、文書化したい業務があれば、【 】内を差し替えるだけで使えます。まずは1本、身近な業務のマニュアルから試してみてください。
マニュアル作成だけじゃない。AIで業務を変えるヒント、届けます
今回のマニュアル作成術のように、生成AIには「知っているだけで仕事が速くなる」活用法がたくさんあります。
生成AIを”使う側”から”使いこなす側”へステップアップしたい方へ、メルマガで実践的なAI活用ノウハウをお届けしています。


コメント