「会議が終わるたびに議事録をまとめるのに30分以上かかる」「大事な決定事項を書き漏らしてしまい、あとから確認が発生する」――議事録作成は、地味だけど確実に時間を奪われる業務の筆頭です。
ChatGPTを使えば、会議の書き起こしテキストを貼り付けるだけで、要点が整理された議事録を数分で作成できます。ただし「要約して」と丸投げするだけでは、肝心な決定事項が抜けたり、誰の発言かわからなくなったりします。
この記事では、ChatGPTで実務レベルの議事録を作成するための具体的なプロンプトと手順を解説します。コピペで使えるテンプレート付きなので、次の会議からすぐに試せます。

なぜ議事録作成にAIを使うべきなのか
議事録作成に毎回30分かけているとしたら、週3回の会議で月に6時間を消費している計算になります。年間で72時間、つまり丸9営業日分です。
ChatGPTを使えば、この時間を5分の1以下に短縮できます。ただしAIが得意なのは「大量のテキストから要点を抽出する作業」であって、「会議の文脈を完全に理解すること」ではありません。最終的な事実確認は人間の目で行う前提で、下書き作成をAIに任せるのが現実的な使い方です。
議事録のAI活用で得られるメリットは大きく3つあります。
・時間短縮: 30分の作業が5〜10分に短縮される
・抜け漏れ防止: プロンプトで出力項目を指定すれば、決定事項やタスクの書き漏らしが減る
・フォーマット統一: 毎回同じ形式で出力されるため、社内で共有しやすくなる
具体的な使い方 — 3ステップで議事録を作成する
ここからは、会議の音声データやメモから議事録を完成させるまでの手順を3ステップで解説します。
1. 会議の音声をテキストに変換する
ChatGPTに議事録を作らせるには、まず会議内容をテキスト化する必要があります。おすすめの方法は3つあります。
・Zoom / Microsoft Teamsの文字起こし機能: オンライン会議であれば、ツール内蔵の自動文字起こしをONにするだけで録音とテキスト化が同時に完了します。Zoomは「設定 > 録画 > オーディオトランスクリプト」から有効にできます
・スマートフォンの録音アプリ: 対面会議の場合は、iPhoneのボイスメモやAndroidの録音アプリで録音し、Whisper(OpenAIの音声認識AI)やnotta等のサービスで文字起こしできます
・手書きメモ: テキスト化ツールが使えない場合は、会議中のメモをそのままChatGPTに渡しても大丈夫です。箇条書きのメモでも、AIは十分に要約できます
完璧な書き起こしである必要はありません。多少の誤字脱字や話し言葉が混じっていても、ChatGPTは文脈から適切に判断してくれます。
2. 議事録要約プロンプトを使って要約する
テキストが準備できたら、以下のプロンプトをChatGPTに入力し、その後に会議テキストを貼り付けてください。
基本プロンプト(汎用版):
あなたは企業の経営企画部で議事録を作成する担当者です。 以下の会議テキストを読み、下記のフォーマットで議事録を作成してください。 # 出力フォーマット 1. 会議概要(1〜2文で目的と結論を要約) 2. 決定事項(箇条書き。何が・いつまでに・誰が担当かを明記) 3. 議論のポイント(主要な論点を3〜5個) 4. 宿題・次のアクション(担当者名と期限を必ず含める) 5. 次回会議の予定 # ルール - 発言者名がわかる場合は「(田中)」のように記載する - 推測や補足は加えず、会議テキストにある情報だけで構成する - 決定事項と宿題は特に漏れなく抽出する - 敬語は使わず、簡潔な体言止めまたは「だ・である」調で書く --- 以下が会議テキストです: (ここに会議のテキストを貼り付ける)
出力例:
## 1. 会議概要 新製品Aの販促キャンペーンについて方針を決定。SNS広告を中心とした施策で4月1日に開始する。 ## 2. 決定事項 - SNS広告(Instagram・X)を4月1日から2週間実施(担当: 鈴木) - 広告予算は50万円に確定(承認: 部長・山田) - LP制作は外注せず社内対応(担当: 高橋、期限: 3月25日) ## 3. 議論のポイント - 広告チャネルの選定: リスティング広告かSNS広告かで議論 → ターゲット層(20〜30代)を考慮しSNSに決定(佐藤) - 予算配分: 動画広告と静止画広告の比率について検討 → 動画7:静止画3で進行(鈴木) - LPの訴求ポイント: 価格訴求か機能訴求かで意見が分かれた → 初回は機能訴求でテストし、反応を見て調整(高橋) ## 4. 宿題・次のアクション - 鈴木: SNS広告クリエイティブの初稿を3月20日までに作成 - 高橋: LP構成案を3月18日までに共有 - 佐藤: 競合のSNS広告事例を3月19日までに調査・報告 ## 5. 次回会議の予定 3月22日(金)14:00〜 広告クリエイティブのレビュー
このプロンプトのポイントは「出力フォーマットを5項目に固定している」ことです。項目を明示することで、毎回同じ構成の議事録が出力され、読む側も必要な情報をすぐに見つけられます。
3. 目的別にプロンプトをカスタマイズする
会議の種類によって、必要な情報は異なります。以下のバリエーションを使い分けると、さらに精度が上がります。
定例会議向けプロンプト(進捗報告型):
あなたはプロジェクトマネージャーのアシスタントです。 以下の定例会議テキストから、プロジェクト進捗レポートを作成してください。 # 出力フォーマット 1. 各担当者の進捗状況(予定通り / 遅延あり / 完了) 2. 遅延が発生している項目と原因 3. リスク・課題(対応策が決まっていれば併記) 4. 次週までのマイルストーン --- 以下が会議テキストです:
出力例:
## 1. 各担当者の進捗状況 - 田中: API連携モジュール開発 → 予定通り(実装完了、テスト中) - 佐藤: ユーザーテスト準備 → 遅延あり(テスト環境の構築に想定外の工数) - 鈴木: ドキュメント整備 → 完了 ## 2. 遅延が発生している項目と原因 - テスト環境構築: 本番環境との設定差異の洗い出しに時間がかかっている(佐藤) ## 3. リスク・課題 - テスト開始が2日遅延する見込み → 佐藤が水曜までに環境構築を完了させ、木曜からテスト開始で吸収可能 ## 4. 次週までのマイルストーン - 田中: 単体テスト完了・結合テスト着手(4/4まで) - 佐藤: テスト環境構築完了(4/2まで)・テストシナリオ実行開始(4/3) - 鈴木: API仕様書の最終版を社内共有(4/3まで)
ブレインストーミング会議向けプロンプト:
あなたは新規事業部のアシスタントです。 以下のブレインストーミング会議テキストから、アイデアの整理レポートを作成してください。 # 出力フォーマット 1. 出たアイデア一覧(カテゴリ別にグループ化) 2. 特に反応が良かったアイデア(賛同者名つき) 3. 実現可能性が高いアイデアTop3(理由つき) 4. 次のアクション(誰が何を調べるか) --- 以下が会議テキストです:
出力例:
## 1. 出たアイデア一覧 【集客チャネル】 - TikTokで30秒のAI活用Tips動画を配信(田中) - 業界特化のオンラインコミュニティを立ち上げる(佐藤) 【サービス改善】 - チャットボットによる24時間問い合わせ対応(鈴木) - ユーザー同士のQ&A掲示板を新設(高橋) ## 2. 特に反応が良かったアイデア - TikTok Tips動画 → 全員が賛同。低コストで始められる点が評価された(田中・佐藤・鈴木) - Q&A掲示板 → サポート工数削減の観点で支持(高橋・佐藤) ## 3. 実現可能性が高いアイデアTop3 1. TikTok Tips動画: 既存コンテンツの転用で即開始可能、追加コストほぼゼロ 2. Q&A掲示板: WordPressプラグインで1週間以内に構築可能 3. チャットボット: 既存FAQデータを活用すれば1ヶ月で導入可能 ## 4. 次のアクション - 田中: TikTokアカウント開設+テスト動画1本を4/5までに作成 - 高橋: Q&A掲示板のプラグイン候補を3つ比較し4/4までに共有 - 鈴木: チャットボットツールの無料トライアルを4/7までに検証
会議の目的が異なれば、抽出すべき情報も変わります。「何を取り出してほしいか」をプロンプトで明確に指定することが、質の高い議事録への近道です。
実務での活用例 — Before/After
実際にこの方法を導入すると、議事録作成の流れがどう変わるのか見てみましょう。
| 項目 | Before(手作業) | After(ChatGPT活用) |
|---|---|---|
| 作成時間 | 30〜45分 | 5〜10分(AI出力+確認・修正) |
| 決定事項の漏れ | 記憶頼りで抜けが発生しやすい | プロンプトで必須項目を指定するため漏れにくい |
| フォーマット | 作成者によってバラバラ | 毎回同じ構成で統一 |
| 共有までの速度 | 翌日以降になることも | 会議直後に共有可能 |
ある営業チーム(5名)では、週3回の社内会議の議事録作成にこの方法を導入した結果、1人あたり月4時間の工数削減につながったという運用例があります。浮いた時間を顧客対応に充てることで、チーム全体の生産性向上にも貢献しています。
うまくいかない時の対処法
ChatGPTで議事録を作る際に、よくあるトラブルと対処法を紹介します。
問題1: 決定事項と議論中の話題が混同される
会議では結論が出た話題と、まだ検討中の話題が混在しています。AIがこれを区別できない場合は、プロンプトに「決定事項は”全員の合意が明示されたもの”のみ抽出すること。検討中の案件は”継続審議”として別枠で記載すること」と追記してください。
問題2: 文字起こしの品質が低く、要約も不正確になる
音声認識の精度が低い場合、固有名詞や専門用語が誤変換されることがあります。対処法として、プロンプトの冒頭に「この会議では以下の固有名詞が登場します: プロジェクトAlpha、顧客名: 山田商事、ツール名: Salesforce」のように用語リストを渡しておくと、AIが文脈を正しく判断しやすくなります。
問題3: 長い会議でChatGPTの入力文字数を超える
ChatGPTには1回の入力に文字数の上限があります(無料版は約4,000文字、有料版は約25,000文字が目安、2026年3月時点)。長い会議の場合は、テキストを前半・後半に分けて、それぞれ要約させた後に「以下の2つの要約を統合して、1つの議事録にまとめてください」と指示する方法が有効です。
なお、議事録に含まれる人名や金額、日付などの具体的な情報は、AIの出力後に必ず原文と照合してください。AIは文脈から「それらしい」情報を補完してしまうことがあり、実際には言及されていない担当者名や期限が混入するケースがあります。
本記事のまとめ
この記事では、ChatGPTを使って議事録を効率的に作成する方法を3ステップで解説しました。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. テキスト化 | 会議音声を文字起こし | Zoom文字起こし・録音アプリ・手書きメモのいずれでもOK |
| 2. 基本プロンプトで要約 | 5項目の出力フォーマットを指定 | 決定事項と宿題に担当者・期限を必ず含める |
| 3. 目的別カスタマイズ | 会議の種類に応じてプロンプトを使い分け | 定例会議・ブレスト・意思決定会議で出力項目を変える |
まずは次の会議で、基本プロンプトをコピペして試してみてください。「この作業にかけていた30分は何だったんだ」と実感できるはずです。
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