仕事でChatGPTを使い始めてから、毎回「私は○○の業種で働いていて、文章は敬語体で書いてほしい」と説明し直していませんか。ChatGPTは基本的に会話をまたいだ記憶を持たないため、同じ前置き説明を繰り返す手間が生じます。
そこで役立つのが「Custom Instructions(カスタム指示)」です。一度設定しておけば、すべての会話で自動的に読み込まれ、AIが「あなたの職種・スキルレベル・好みのスタイル」を把握した状態から会話をスタートしてくれます。
この記事では、Custom Instructionsの設定手順を操作画面の流れで解説し、職種別のコピペ設定例・実際の回答Before/After・うまくいかない時の対処法まで網羅します。ChatGPTをもっと自分仕様に使いこなしたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
Custom Instructions(カスタム指示)とは?
Custom InstructionsはChatGPTが2023年7月に導入した機能で、「AIに常に覚えておいてほしいこと」をあらかじめ登録しておく設定です。通常のチャットと異なり、ここに書いた内容はすべての会話の開始時に自動で読み込まれます。
入力できるのは2種類のテキストボックスです。
・「あなた自身について」(上の欄): 職種・業種・知識レベル・利用目的など、AIが文脈を把握するための背景情報
・「回答スタイルの希望」(下の欄): 文体・長さ・フォーマット・使ってほしい言語など、出力形式に関する指示
各欄に入力できるのは最大1,500文字(2026年6月時点)。この範囲内で自分の情報を書き込んでおくことで、毎回の前置き説明が不要になります。
ChatGPTのメモリ機能との違いも整理しておきます。メモリ機能は「会話の中でAIが自動で学習・保存する情報」なのに対し、Custom Instructionsは「ユーザーが自分で書いて固定登録するテキスト」です。メモリは使うたびに更新されますが、Custom Instructionsは自分で変更しない限り変わりません。両方を組み合わせると、さらに精度の高いパーソナライズが実現できます。
なお、Custom InstructionsはChatGPT無料プランでも利用できます。ただし「一時的なチャット(Temporary Chat)」モードでは設定が適用されないため、通常の会話モードで使う場合のみ有効です。
Custom Instructionsの設定方法(ステップバイステップ)
設定は3分もあれば完了します。PCブラウザ操作の流れで確認していきます。
1. 設定画面を開く
ChatGPTの画面左下にあるアカウント名(自分の名前またはメールアドレス)をクリックします。ポップアップメニューが表示されたら「カスタマイズ(Customize ChatGPT)」を選択してください。
スマートフォン(iOS/Android)の場合は、画面右上またはサイドメニューのアカウントアイコンをタップし、「カスタマイズ」から同じ画面に進めます。
2. 「カスタム指示」タブを選ぶ
カスタマイズ画面の上部にタブが並んでいます。「カスタム指示(Custom Instructions)」タブをクリックします。このタブが見つからない場合は、一度ページをリロードするか、ブラウザのキャッシュをクリアしてみてください。
3. 2つのテキストボックスに情報を入力する
上の欄には「あなた自身について」の情報を、下の欄には「回答スタイルの希望」を入力します。次のセクションで職種別の具体例を紹介しているので、そちらをコピーして書き換えて使ってください。
4. 保存して反映を確認する
入力が終わったら「保存(Save)」ボタンをクリックします。保存後に新しいチャットを開始すると、設定が自動で読み込まれます。確認したい場合は「この会話ではどんなカスタム指示が設定されていますか?」とAIに質問すると、登録した内容を返してくれます。
【ポイント】設定内容を考える際のコツ
設定を考える際は「AIに伝えるべき情報を2種類に分ける」ことを意識するとスムーズです。
・上の欄(あなたについて): 職種・業種・知識レベル・よく頼む仕事の種類・使う言語
・下の欄(回答の好み): 敬語/フランクな口調・長さの目安・箇条書きの有無・出力フォーマット・避けてほしい表現
最初から完璧に書こうとせず、「職種と文体の好みだけ入れる」くらいの感覚でスタートして、使いながら少しずつ調整していくのがおすすめです。
職種別コピペで使えるCustom Instructions設定例
すぐに使える設定文を職種別に紹介します。自分の情報に書き換えてそのまま貼り付けてください。
【設定例1】営業担当者向け
▼ あなた自身について(上の欄に貼る)
私は製造業向け法人営業担当者(経験8年)です。 主な業務:新規アポイント獲得・提案書作成・見積り対応・契約交渉 ターゲット顧客:中小製造業の経営者・購買担当者(40~60代) 得意分野:営業・交渉・顧客管理 苦手分野:IT・プログラミング・法律(平易な言葉で説明してください) 使用言語:日本語のみ
▼ 回答スタイルの希望(下の欄に貼る)
・回答は丁寧な敬語体(~です、~ます)で書いてください ・結論を最初に述べ、その後に理由・補足を書く「結論ファースト」形式にしてください ・専門用語が出る場合は、必ず括弧内に平易な言葉で補足してください ・回答の長さは通常300文字以内で簡潔に。詳細が必要な場合は私が質問します ・メール文面・提案書を作る際は、コピペできる完成形で出力してください ・箇条書きより文章形式を優先してください
【設定例2】中小企業経営者・管理職向け
▼ あなた自身について(上の欄に貼る)
私はIT系スタートアップの代表取締役(創業7年目、社員25名)です。 主な関心事:採用戦略・新規事業開発・マーケティング・組織マネジメント IT・ビジネス知識は豊富。法律・税務・労務は専門家に依頼しています。 意思決定は素早く行うタイプなので、要点を絞った回答を好みます。
▼ 回答スタイルの希望(下の欄に貼る)
・まず「結論」を1文で述べ、続いて「理由3点以内」「注意点」の順で回答 ・箇条書きを積極的に使い、スキャンしやすい形式にする ・法的・税務的アドバイスには必ず「専門家に確認を」と一言添える ・敬語は不要。フランクなビジネス口調でOK ・不必要な前置きや説明は省いてください
【設定例3】マーケター・広報担当者向け
▼ あなた自身について(上の欄に貼る)
私はBtoBメーカーのマーケティング部門責任者(社員300名の会社)です。 主な業務:SNS運用・展示会企画・メールマーケティング・コンテンツ制作・広報対応 ターゲット層:製造業・建設業の中小企業経営者・購買担当者 得意分野:デジタルマーケティング・コピーライティング ChatGPTには主に文章作成・アイデア出し・構成案作りを依頼します。
▼ 回答スタイルの希望(下の欄に貼る)
・文章は読み手の感情に訴える表現を意識してください ・アイデア出しの際は、まず5案以上を箇条書きで提示してください ・コピーライティングでは「具体的な数字・事例」を積極的に使ってください ・文体はターゲット(BtoBビジネスパーソン)に合わせた硬めのビジネス文体で ・回答はそのままSNS投稿・メール本文に使えるレベルの完成形を目指してください
【設定例4】人事・採用担当者向け
▼ あなた自身について(上の欄に貼る)
私は小売業(社員350名)の人事部門で採用・研修・労務管理を担当しています。 主な業務:求人票作成・面接設計・新入社員研修の企画・就業規則の管理 直近の課題:採用コスト削減・社員定着率向上・AI研修プログラムの整備 ChatGPTには文書作成補助と情報収集を主に依頼します。
▼ 回答スタイルの希望(下の欄に貼る)
・採用関連文書(求人票・面接質問例)はそのまま使える完成形で出力してください ・労務・法律に関するアドバイスには「社労士または弁護士に確認を」と必ず添えてください ・文体は丁寧な敬語体で、社内外どちらにも使いやすい表現を選んでください ・提案や回答の根拠となる具体的な数値や事例があれば積極的に引用してください ・表形式で整理できる情報は積極的に表で出力してください
実務での活用例(Before/After)
設定の効果を実感するために、同じ質問に対する回答の変化を比較してみます。
質問例: 「来月の新入社員に向けた歓迎メールを書いてください」
▼ Before(Custom Instructions未設定)
AIは相手の業種・文体の好み・社風を知らないため、汎用的なテンプレートメールを返してきます。「敬語が必要か」「会社名をどこに入れるか」「文体はどれくらい堅くするか」が分からないため、そのままでは使えない回答になりがちです。受け取ったメール文面に自分で情報を補いながら修正する作業が毎回発生します。
▼ After(Custom Instructions設定済み)
人事担当者の設定例を登録している場合、AIは「小売業・社員350名・丁寧な敬語体・そのまま使える完成形」という情報をあらかじめ把握しています。そのため、業種に合った文体・歓迎の温度感・会社名の配置まで考慮したメールが最初から返ってきます。修正にかかる時間が大幅に短縮されます。
【ポイント】Custom Instructionsが特に効果を発揮する場面
・文書作成: メール・提案書・報告書など、文体や形式の統一が必要な作業
・定型業務の補助: 同じ種類の質問を繰り返す場合(例: 毎週の週報要約・議事録作成)
・専門知識のレベル合わせ: IT初心者向け・経営者向けなど、説明の粒度を固定したい場合
・チームでの共有: 同じ設定をチームメンバーで使うことで、回答のトンマナを統一できる
Custom Instructionsがうまく機能しない時の対処法
設定を保存したはずなのに効果が感じられない場合、以下のポイントを確認してください。
1. 「一時的なチャット」モードになっていないか確認する
ChatGPTには通常のチャットと「Temporary Chat(一時的なチャット)」の2種類があります。Temporary Chatでは、Custom Instructionsもメモリも適用されません。画面上部に「Temporary」と表示されている場合は、新規チャットを開き直してください。
2. 指示が曖昧すぎないか見直す
「わかりやすく書いてください」のような曖昧な指示は、AIが解釈しにくいため効果が薄れます。「専門用語には必ず括弧で補足説明を入れてください」のように、具体的な行動を指定するとAIが指示に従いやすくなります。
3. 指示同士が矛盾していないか確認する
「短く答えてください(100文字以内)」と「詳しく解説してください」のように相反する指示が入っていると、AIがどちらを優先すべきか判断できず、不安定な回答になります。矛盾が見つかったら、どちらかを削除または条件付きで表現し直してください。
4. 設定を定期的に見直す
転職・部署異動・担当業務の変化があった場合は、設定も更新する必要があります。ChatGPTの仕様変更によって設定の効き方が変わることもあるため、3か月に一度程度は内容を見直す習慣をつけると効果が持続します。
本記事のまとめ
Custom Instructionsを活用することで、ChatGPTが「あなた専用のアシスタント」として動くようになります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 設定できる情報 | 「あなた自身について」と「回答スタイルの希望」の2種類(各1,500文字) |
| 設定の場所 | アカウント名 > カスタマイズ > カスタム指示 |
| 無料プランでも使える | ○(ただしTemporary Chatでは無効) |
| 特に効果的な場面 | 文書作成・定型業務・専門知識レベルの固定 |
| 効果が薄い時の対処 | 具体的な指示に書き直す・矛盾を削除・定期的に更新 |
設定はいつでも変更できるので、まず「自分の職種と文体の好み」だけ入力してスタートし、使いながら少しずつ育てていくのが最もスムーズなやり方です。
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