「毎回ゼロからプロンプトを考えるのが面倒」「汎用的な書き方では回答がズレる」— 生成AIを業務で使い始めた人が必ずぶつかる壁です。
この記事では、営業・マーケティング・人事・経理の4部門を対象に、ChatGPTやClaudeで今日からコピペして使えるプロンプトテンプレートを全30本収録しています。ジョブに特化した指示文は汎用プロンプトより精度が高く、少ない試行回数で業務品質の出力が得られます。
業務別プロンプトテンプレートとは?
「AIに仕事を頼むのが難しい」と感じる原因の多くは、指示が漠然としすぎていることにあります。「○○を書いて」という一言より、「営業担当として、IT系中小企業の社長に向けて、3ステップの商談後フォローアップメールを書いて」と伝えるほうが、使い物になる出力が返ってきます。
業務別テンプレートとは、この「精度の高い指示文」を職種・シーン別にあらかじめ設計したものです。背景・役割・出力形式・制約の4要素が最初から組み込まれているため、使う側は〔〕内のカスタマイズ箇所だけを埋めれば完成します。
【共通ルール】テンプレートを使いこなす3つのポイント
・〔〕内を自分の状況に書き換える: テンプレート内の〔業種〕〔商品名〕等の記号部分だけを置き換えて使います
・出力形式を明示する: 「箇条書きで」「500字以内で」など、受け取りたい形式を指定すると整った出力になります
・一度に詰め込みすぎない: 複数のタスクを一つのプロンプトにまとめると精度が落ちます。ステップを分けて依頼しましょう
【営業部門】商談・提案・フォローで使う8本
1. 初回商談前のヒアリング設計
商談前に顧客の状況を把握するためのヒアリング項目を自動生成します。業種と商談の目的を入れるだけで、BANT情報(予算・権限・課題・タイムライン)を網羅した質問リストが得られます。
あなたは法人営業の専門家です。 以下の条件で、初回商談前に確認すべきヒアリング項目を作成してください。 【対象顧客の業種】〔例: 製造業・従業員50名〕 【提案する商品・サービス】〔例: 生成AI活用支援サービス〕 【商談の目的】〔例: 課題のヒアリングと提案の方向性確認〕 出力形式: ・BANT(予算・決裁権限・課題・導入タイムライン)ごとに分類 ・各カテゴリ3~5問 ・質問は自然な対話形式(「~はいかがですか?」スタイル)
【出力例(抜粋)】
予算: 現在、業務効率化にどのくらいの費用を想定されていますか?
権限: 今回の導入判断はどなたが最終決定されるご予定ですか?
課題: 現在、どの業務で一番時間がかかっていると感じていますか?
タイムライン: もし導入を決めた場合、いつ頃からスタートしたいとお考えですか?
2. 顧客課題別の提案書骨子
顧客の課題と自社商品の特長を入力すると、「課題→解決策→実績→費用対効果」の流れで提案書の構成を自動生成します。
あなたは営業提案書の作成専門家です。 以下の情報をもとに、決裁者向けの提案書の骨子を作成してください。 【顧客の主な課題】〔例: 見積書作成に1件あたり2時間かかっている〕 【自社の解決策】〔例: AIで見積テンプレートを自動入力するシステム〕 【類似の実績・事例】〔例: 同業他社で作業時間を70%削減〕 【価格帯・ROI】〔例: 月額5万円、3ヶ月で投資回収〕 出力形式: ・スライド構成(1スライド1行の見出し形式) ・全8枚構成 ・各スライドに1行のサマリーも記載
3. 商談後フォローアップメール(温度感別3パターン)
商談後の顧客の温度感(前向き・中立・様子見)に応じた3パターンのフォローメールを一括生成します。状況に合わせて使い分けることで、商談の熱量が落ちないうちに適切なアプローチが取れます。
あなたは法人営業担当です。 商談後のフォローアップメールを、顧客の温度感別に3パターン作成してください。 【顧客情報】〔例: 山田商事 営業部長 鈴木様〕 【商談で話した内容】〔例: AI活用による見積業務効率化の提案〕 【商談日】〔例: 2026年7月26日〕 【次のアクション(予定)】〔例: 1週間後に資料送付〕 パターン: A. 前向きな反応をいただいた場合(次のステップを明確に提示) B. 「検討します」と言われた場合(価値を再確認しつつ継続接触を維持) C. 競合と比較中の場合(自社の差別化ポイントを自然に強調) 各メール: 件名1行 + 本文200字以内
4. 失注案件の再アプローチ文
3~6ヶ月前に失注した案件に対し、状況変化を踏まえた再アプローチ文を生成します。売り込みではなく、「情報提供」として自然に接触する文体を指定するのがポイントです。
あなたは法人営業担当です。 以前失注した顧客への再アプローチメールを作成してください。 【失注した理由】〔例: 予算不足・他社導入決定〕 【失注からの経過期間】〔例: 約4ヶ月〕 【状況が変わったと思われるポイント】〔例: AI補助金の新設・競合製品の価格上昇〕 【顧客の課題(当時)】〔例: 業務効率化への意向はあったが予算確保できず〕 目標: 「また話を聞いてみようか」と思わせる自然な文章 字数: 250字以内 締め付けない・売り込みすぎない文体で
営業部門のその他テンプレート(5~8番)
| テンプレート名 | 主な用途 | ポイント |
|---|---|---|
| 5. クロスセル提案文 | 既存顧客への追加提案 | 購入履歴と関連商品を入力すると最適な追加提案文を生成 |
| 6. 競合比較トーク台本 | 競合他社との差別化説明 | 競合の特長と自社の強みを入れると反論封じのトーク台本が出力される |
| 7. 商談議事録の要約整形 | 商談メモのまとめ | 会話メモを貼り付けると「決定事項・宿題・次回アジェンダ」形式に整形 |
| 8. 契約更新の案内メール | 既存顧客の継続促進 | 更新期限・過去の利用実績を入力すると継続の価値を訴求する文章を生成 |
【マーケティング部門】コンテンツ・広告・分析で使う8本
9. LP用キャッチコピーの10案量産
ターゲット・商品特長・訴求軸を入力するだけで、A/Bテストに使えるキャッチコピー候補を10本一括生成します。感情訴求・数字訴求・問いかけ型・Before/After型など、バリエーションを指定できるのが特長です。
あなたはLP(ランディングページ)コピーライターです。 以下の条件でキャッチコピーを10パターン作成してください。 【ターゲット】〔例: 30~40代の中小企業経営者・非エンジニア〕 【商品・サービス名】〔例: AI業務効率化コンサルティング〕 【主な訴求点】〔例: 3ヶ月で業務時間を30%削減〕 【競合との差別化】〔例: 非エンジニアでも使えるツール選定から伴走〕 各コピーの要件: ・ファーストビューに使える20字以内 ・感情訴求3本・数字訴求2本・問いかけ型2本・Before/After型3本の配分 ・各コピーに「なぜこのコピーにしたか」を1行で補足
10. メルマガ本文の下書き生成
配信テーマと読者属性を指定すると、開封率を意識した件名と本文の下書きをセットで作成します。CTAが1箇所に絞られ、読者をダラダラ読ませない構造になります。
あなたはBtoBメールマーケターです。 以下の条件でメルマガの件名と本文の下書きを作成してください。 【読者属性】〔例: 中小企業の経営者・IT担当者・40代〕 【配信テーマ】〔例: 生成AIで経費精算を自動化した事例紹介〕 【目標アクション】〔例: セミナー申込みページのクリック〕 【配信日】〔例: 火曜日の朝8時〕 件名: 3パターン(好奇心型・数字型・問いかけ型) 本文: 400字以内、冒頭2行で読者の悩みを掴む、CTAは最後の1箇所のみ
マーケティング部門のその他テンプレート(11~16番)
| テンプレート名 | 主な用途 | ポイント |
|---|---|---|
| 11. SNS投稿のバリエーション量産 | X(Twitter)・LinkedIn投稿 | 1つの情報から媒体別・目的別の投稿文を5パターン生成 |
| 12. SEO記事の見出し構成案 | ブログ・コンテンツSEO | キーワードと競合分析メモを入力するとH2/H3構成を一括生成 |
| 13. 競合比較コンテンツの骨子 | 比較記事・比較表作成 | 比較対象と評価軸を入力すると表形式+解説文の構成案を出力 |
| 14. 顧客事例インタビューの質問リスト | 事例記事の取材準備 | 課題→導入理由→成果の流れで深掘りできる質問を自動生成 |
| 15. ホワイトペーパーの概要と構成 | リード獲得コンテンツ | テーマと読者属性を入力するとダウンロード動機を高める構成案を作成 |
| 16. セミナー告知文の作成 | ウェビナー・勉強会の集客 | 登壇者・内容・対象者を入力すると参加意欲を高める告知文を生成 |
【人事・HR部門】採用・評価・育成で使う7本
17. 1on1アジェンダの自動作成
マネージャーが部下の1on1に使えるアジェンダを、部下の状況と前回の話し合いメモを入力するだけで生成します。コーチング的な問いかけ形式で作られるため、指示型ではなく引き出す1on1になります。
あなたは人事・組織開発の専門家です。 以下の情報をもとに、30分の1on1ミーティングのアジェンダを作成してください。 【部下のプロフィール】〔例: 入社2年目・営業担当・最近新規案件に苦戦中〕 【前回の1on1からの変化】〔例: 提案件数が増えたが成約率が伸び悩んでいる〕 【今月の部下の目標】〔例: 新規成約3件〕 【マネージャーが伝えたいこと】〔例: 強みを活かした戦略の方向性〕 出力形式: ・時間配分付きのアジェンダ(30分分) ・各項目に「なぜこの質問をするか」の補足メモ ・コーチング的な質問(指示・評価ではなく引き出す形式)
18. 評価フィードバックコメントの下書き
年次評価や360度フィードバックで使えるコメントを、評価対象者の行動実績を入力するだけで生成します。建設的・客観的な表現に自動的に整えてくれるので、ネガティブな内容も伝えやすくなります。
あなたは人事評価の専門家です。 以下の情報をもとに、評価フィードバックコメントの下書きを作成してください。 【評価対象者の役割・等級】〔例: チームリーダー・中堅〕 【評価期間中の実績(良い点)】〔例: 新規プロジェクトを期限内に完遂、チームの残業を20%削減〕 【評価期間中の課題(改善点)】〔例: 上位職への報連相が不足、突発業務への対応が遅い〕 【評価(5段階)】〔例: 4(期待を上回る)〕 出力形式: ・良い点コメント(100字) ・改善点コメント(100字、ネガティブでない表現で) ・次期目標への期待(50字)
人事部門のその他テンプレート(19~23番)
| テンプレート名 | 主な用途 | ポイント |
|---|---|---|
| 19. 新入社員オンボーディング計画 | 入社研修の設計 | 職種・部署・期間を入力すると週次のオンボーディングスケジュールを生成 |
| 20. 採用面接の評価基準シート | 面接の標準化 | 職種と求めるコンピテンシーを入力すると評価観点と質問例をセット生成 |
| 21. 社内研修資料の構成案 | 研修コンテンツ作成 | 研修テーマと対象者レベルを入力するとカリキュラム構成と演習案を出力 |
| 22. 退職者ヒアリングの質問設計 | 離職原因の分析 | 退職理由の仮説を入力すると本音を引き出しつつ関係を壊さない質問リストを生成 |
| 23. 社内エンゲージメント調査の設問作成 | 従業員意識調査 | 調査目的を入力すると回答バイアスを抑えた設問を自動設計 |
【経理・総務部門】報告・文書・分析で使う7本
24. 月次決算コメントの生成
数値を貼り付けるだけで、経営会議で使えるレベルの月次決算コメントを作成します。前月比・前年同期比・計画比の分析文をまとめて出力できるため、コメント作成の時間を大幅に短縮できます。
あなたは経営管理担当の財務アナリストです。 以下の数値をもとに、経営会議向けの月次決算コメントを作成してください。 【対象月】〔例: 2026年6月〕 【売上高】〔例: 当月3,200万円 / 前月2,900万円 / 前年同月2,800万円 / 計画3,000万円〕 【営業利益】〔例: 当月480万円 / 前月390万円 / 前年同月320万円〕 【主な変動要因(好調因)】〔例: 主力商品Aの受注が好調〕 【主な変動要因(課題)】〔例: 人件費が計画比110%で推移〕 出力形式: ・冒頭サマリー(2行) ・売上・利益・コストの分析コメント(各100字) ・来月の見通しと注意点(100字) 表現: 社内資料向けの客観的・簡潔な文体
25. 社内規程・ルール文書の文章化
口頭ルールや箇条書きのメモを、正式な社内規程文書の形式に整えます。法務チェック前の下書きとして使えます。生成AI利用ガイドラインや情報セキュリティポリシーの草案作成に特に有効です。
あなたは法務・コンプライアンス担当です。 以下のメモをもとに、社内規程として使える文書の下書きを作成してください。 【規程のタイトル(案)】〔例: 生成AI利用に関する社内ガイドライン〕 【ルールの概要メモ】〔例: 個人情報をAIに入力しない、出力は必ず人間が確認する、業務外利用は禁止〕 【適用対象】〔例: 全社員〕 【施行時期(予定)】〔例: 2026年9月1日〕 出力形式: ・第1条から始まる条文形式(全5条程度) ・難解な法律用語は避け、現場で読んでわかる表現で ・改訂履歴欄と承認欄のテンプレートも末尾に追加
経理・総務部門のその他テンプレート(26~30番)
| テンプレート名 | 主な用途 | ポイント |
|---|---|---|
| 26. 経費申請の異常値確認リスト | 経費精算の監査補助 | 費目・金額・申請パターンを入力すると不正リスクのある申請の確認観点を生成 |
| 27. 取引先への支払い督促文 | 売掛金回収 | 滞納期間と取引関係を入力すると関係を維持しながら支払いを促す文章を生成 |
| 28. 施設・備品管理ルールの整備 | 総務業務の標準化 | 現状のルールと問題点を入力するとわかりやすい利用ガイドラインの文章を生成 |
| 29. 株主・役員向けの事業報告文 | IR・経営報告 | 業績データと主要トピックを入力すると格調のある報告文の下書きを作成 |
| 30. インシデント報告書の下書き | トラブル・事故報告 | 発生事実・原因・対策を入力すると5W1Hで整理されたインシデント報告書を生成 |
実務での活用例(Before/After)
Before: 営業担当の田中さんは毎回の商談後メールを30分かけて一から書いていました。文章の質も担当者によってバラツキがあり、ベテランと若手で送るメールの完成度に大きな差がありました。
After: テンプレート3(フォローアップメール)を社内で共有し、案件情報を入力するだけで誰でも一定品質のメールを3分で作れるようになりました。温度感別3パターンを使い分けることで、商談の熱量が落ちないうちに適切なアプローチが取れています。
| 指標 | Before | After |
|---|---|---|
| フォローメール作成時間 | 1件あたり30分 | 1件あたり3分 |
| メール品質のばらつき | 担当者により大きな差 | チーム全体で均質化 |
| 商談後の返信率(2ヶ月後) | 約15% | 約28% |
このように、テンプレートは個人の生産性向上にとどまらず、チーム全体の品質底上げにも効果を発揮します。
うまくいかない時の対処法
「出力が薄い・的外れ」になる場合
→ 〔〕内の情報が少ない可能性があります。特に「業種・規模・具体的な数字」を増やすと精度が上がります。「中小企業」より「IT系SaaS企業・従業員30名・BtoB営業中心」と具体化してみてください。
「文章が長すぎる・冗長」になる場合
→ プロンプトの最後に「〇〇字以内で」「箇条書きで」「口語体で」など出力形式の指定を追加します。形式の制約を入れるだけで出力の使いやすさが大きく変わります。
「毎回同じような出力になる」場合
→ ロールプロンプトを組み合わせて、AIに違う「立場」を与えてみてください。「新卒担当者として」「ベテランのクローザーとして」など役割を変えるだけで出力の多様性が増します。
「使えるテンプレートを社内で管理・共有したい」場合
→ 精度の高いプロンプトはバージョン管理して社内で共有することをおすすめします。NotionやGitHubを使えば、部門ごとにテンプレートを体系化できます。
「出力の品質を改善したい」場合
→ A/Bテストで定量的に比較する方法も有効です。複数パターンを出力させて評価軸を決めておくと、テンプレートの改善が加速します。
本記事のまとめ
業務別プロンプトテンプレートを使うメリットを部門別にまとめます。
| 部門 | 主な用途 | 効果の出やすいシーン |
|---|---|---|
| 営業 | ヒアリング設計・提案書・フォローメール | 商談数が多く、毎回ゼロから書く手間が大きい業務 |
| マーケティング | コピー量産・メルマガ・コンテンツ構成 | A/Bテスト用に複数バリエーションが必要な業務 |
| 人事・HR | 1on1・評価コメント・研修設計 | 担当者によって品質差が出やすい定型業務 |
| 経理・総務 | 月次レポート・規程文書・報告書 | 正確性が必要だが文章化に時間がかかる業務 |
テンプレートは「コピペして終わり」ではなく、自社の状況に合わせて少しずつカスタマイズしていくことで精度が上がります。まず1本、今日の業務に使ってみることから始めてみてください。
なお、プロンプトがうまく機能しないときはトラブルシューティングガイドも参考にしてみてください。AIへの指示は「失敗→改善→再試行」の繰り返しで必ず精度が上がっていきます。
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ChatGPT・Claudeなどの生成AIを業務で即戦力にするための実践テクニックを網羅。本記事で紹介したような業務別プロンプトの設計思想から、出力精度を上げるコツまでを体系的に学べる一冊です。
