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条件分岐プロンプトの書き方|if-thenロジックでAIに複雑なシナリオを処理させる実践ガイド

「顧客メールへの返信をAIに頼んでいるが、クレームと問い合わせで指示文を毎回書き換えるのが手間で……」

こうした悩みを解決するのが条件分岐プロンプトです。「もし〇〇なら→A、そうでなければ→B」という判断ロジックをAIへの指示文に直接組み込む手法で、1つのプロンプトで複数のシナリオに自動対応できます。

この記事では、条件分岐プロンプトの基本的な書き方から、顧客対応・文書作成・データ分類への実践活用例まで、コピペで使えるテンプレート付きで解説します。ChatGPT・Claude・Geminiいずれでも使える汎用的な手法です。

目次

条件分岐プロンプトとは?

条件分岐プロンプトとは、プロンプトの中に「もし〇〇なら~、そうでなければ~」という条件ロジックを記述する手法です。プログラミングのif-then-else文と同じ発想をAIへの指示に応用します。

通常のプロンプトは1つの指示に対して1パターンの出力しか生成できません。条件分岐プロンプトを使うと、入力データや状況に応じてAIの動作を動的に変えることができます。

比較項目 通常のプロンプト 条件分岐プロンプト
対応できるシナリオ 1パターン固定 複数パターンを自動で切り替え
必要なプロンプト数 シナリオ数と同数 1本で複数対応
修正・更新の手間 各プロンプトを個別に修正 1本を修正するだけ
向いている用途 単純・固定処理 状況依存・複雑な判断処理

条件分岐プロンプトが活きる4つのシーン

顧客メール対応: クレーム・一般問い合わせ・注文確認など、メールのトーンに応じて返信文を自動で切り替える
提案書・見積もり作成: 顧客の予算規模・業種・役職に応じて推奨内容や表現スタイルを変える
データ分類・ラベリング: 顧客レビューや社内フィードバックをカテゴリ別に自動分類する
多言語対応: 入力文の言語を判別し、同じ言語で応答するか、指定の言語に翻訳して返す

業務プロセスのデジタル化全体については、姉妹サイトDXマスターズ.TOKYOでも詳しく解説しています。

基本の書き方(3つのパターン)

1. シンプルな2択分岐(if-else)

最もシンプルな形は「条件を満たす場合」と「満たさない場合」の2択分岐です。まずここから試してみてください。

以下のカスタマーメールを分析し、返信文を作成してください。 【条件】 - もしメールにクレーム(不満・怒り・返金要求など)が含まれている場合: → 冒頭で謝罪と共感を示した後、解決策を提案する。丁寧で落ち着いたトーンで書く。 - それ以外(問い合わせ・確認・一般的なメッセージ)の場合: → 要点を明確に答え、必要であれば次のステップを案内する。簡潔で親切なトーンで書く。 【メール本文】 {ここにメール本文を貼り付ける} 【出力形式】 判定:(クレーム / その他) 返信文:(本文のみ、件名・宛名省略)

出力例(クレームメールを入力した場合):

判定:クレーム 返信文: この度はご不便をおかけし、誠に申し訳ございません。 ご状況について担当部署で速やかに確認いたします。 3営業日以内に改めてご連絡差し上げますので、何卒よろしくお願いいたします。

2. 多段階の複数条件分岐(if-elif-else)

条件が3種類以上になる場合は、「もし〇〇なら→A、もし△△なら→B、それ以外→C」と順に評価させます。条件を上から評価して最初に当てはまるものを適用するという原則を明記するのがポイントです。

以下の企業情報をもとに、最適なAIツール導入プランを提案してください。 条件は上から順に評価し、最初に当てはまるものを適用してください。 【条件】 1. 従業員数が300名以上の場合: → エンタープライズプラン(専任サポート・SSO・監査ログ対応)を推奨する。 セキュリティと管理機能を中心に説明する。 2. 従業員数が50~299名の場合: → ビジネスプラン(チーム管理・利用状況レポート機能付き)を推奨する。 コストパフォーマンスと拡張性を中心に説明する。 3. 従業員数が49名以下の場合: → スタータープラン(個人・小規模向け)を推奨する。 将来のスケールアップ時の移行ロードマップも一緒に提示する。 【企業情報】 会社名:{会社名} 従業員数:{従業員数}名 主な業務:{業務内容} 【出力形式】 推奨プラン: 推奨理由(2文以内): 次のアクション(具体的なステップ):

3. 入れ子(ネスト)条件分岐

最初の判定結果に応じて、さらに別の条件で分岐させる入れ子型です。複雑なシナリオに対応できますが、ネストは最大2段階までにとどめるのが実務上の推奨です。3段階以上になると判定精度が下がる傾向があります。

以下の問い合わせメールを分析し、対応案内文を作成してください。 【第1段階:カテゴリ判定】 - 「返金・キャンセル」に関する内容 → 第2段階Aへ - 「使い方・技術的なトラブル」に関する内容 → 第2段階Bへ - それ以外の一般問い合わせ → 担当者への転送メッセージを生成して終了 【第2段階A:返金・キャンセルのサブ分岐】 - 購入日から30日以内の場合 → 全額返金ポリシーの案内文を生成する - 購入日から31日以上の場合 → 部分返金ポリシーの説明と上位確認依頼の案内文を生成する 【第2段階B:技術問題のサブ分岐】 - FAQで解決できそうな一般的な質問 → FAQページへの案内文を生成する - FAQでは解決できない複雑な問題 → テクニカルサポート起票フォームへの案内文を生成する 【メール本文】 {ここにメール本文を貼り付ける} 【出力形式】 第1段階判定:(カテゴリ名) 第2段階判定:(サブカテゴリ名 / 適用外) 案内文:

実務での活用例(Before/After)

事例1:顧客アンケートの自動分類

Before: 顧客アンケート100件を「ポジティブ」「ネガティブ」「改善要望」の3カテゴリに分けるため、カテゴリごとに別々の指示を書いてコピペ作業を繰り返していた。作業時間:約2時間。

After: 条件分岐プロンプト1本でバッチ処理。100件を一括分類し、作業時間を約20分に短縮。

以下の顧客フィードバック一覧を分類してください。 各フィードバックに対して以下のルールを順番に評価し、最初に当てはまった分類を適用してください。 【分類ルール】 1. 「良かった」「満足」「助かった」「おすすめ」など肯定的表現が主体 → 「ポジティブ」 2. 「〇〇機能が欲しい」「〇〇を改善してほしい」など具体的な改善提案を含む → 「改善要望」 3. 「困った」「不満」「遅い」「対応が悪い」など否定的表現が主体 → 「ネガティブ」 4. 上記のどれにも当てはまらない → 「その他」 【出力形式】 番号|分類|要約(20文字以内) の形式で全件出力すること。 【フィードバック一覧】 1. {フィードバック1} 2. {フィードバック2} 3. {フィードバック3}

事例2:読み手に応じた文書の文体自動変換

Before: 同じプロジェクトの説明を、役員向け・現場担当者向け・外部パートナー向けで3パターン別々に作成。作業者の負荷が高く、内容のずれも発生していた。

After: 読み手を変数として渡すだけで、1つのプロンプトが自動的に適切な文体・詳細度・視点に変換。内容の一貫性も保たれた。

以下の業務内容を、読み手に合わせた説明文として生成してください。 【読み手】{役員 / 現場担当者 / 外部パートナー のいずれかを記入} 【条件】 - 読み手が「役員」の場合: 経営上の意義・期待ROI・主なリスクを中心に、専門用語を使わず簡潔に。200字以内。 - 読み手が「現場担当者」の場合: 具体的な操作手順・スケジュール・担当範囲を詳細に。箇条書き形式で読みやすく。 - 読み手が「外部パートナー」の場合: 守秘義務に配慮して概要のみを開示。丁寧なビジネス敬語を使用する。 【業務内容】 {説明したい業務・プロジェクトの概要をここに記入}

うまくいかない時の原因と対処法

条件分岐プロンプトを使い始めると、AIが意図した条件を無視したり、どの条件にも当てはまらない曖昧な出力になることがあります。プロンプト改善の一般的な手法についてはプロンプトがうまくいかない原因と改善法でも詳しく扱っていますが、条件分岐特有の問題と対処法を以下にまとめます。

原因1:判断基準が主観的で曖昧
「長い文章なら」「複雑な内容なら」など主観的な基準はAIによって判定がばらつきます。
対処法:「200文字以上なら」「3つ以上の要件を含む場合は」のように、数値や具体的な要素で基準を明示する。

原因2:条件ごとの出力フォーマットが統一されていない
条件によって出力の構造が変わると、Excelへの転記や後続の自動処理が崩れます。
対処法:「どの条件が適用された場合も、必ず以下の形式で出力すること」と全条件共通のフォーマットを明示する。

原因3:条件が多すぎてAIが混乱する
ネストが3段階以上になったり、条件が10個以上重なると判定精度が落ちます。
対処法:1つのプロンプトで扱う条件は5つまでを目安にする。複雑な分岐が必要な場合は複数ステップへの分割を検討する(Tree of Thoughtsプロンプトの考え方が参考になります)。

原因4:条件が重複または矛盾している
同じ入力に複数の条件が当てはまると、AIがどれを適用すべきか迷います。
対処法:「以下の順番で評価し、最初に当てはまった条件を適用してください」と優先順位を明記する。

本記事のまとめ

パターン 向いている用途 目安の難易度
シンプルif-else(2択) クレーム/問い合わせ分類、ポジティブ/ネガティブ判定 低(初心者OK)
多段階条件分岐(elif) 顧客ランク別対応、予算規模別の提案作成
ネスト条件(入れ子・2段階まで) 問い合わせ自動振り分け、審査・評価フロー 中~高

条件分岐プロンプトは「毎回指示を書き換えているもの」を一本化するために非常に効果的な手法です。まずはシンプルな2択から試して、業務に合わせて段階的に条件を追加していく進め方が習得しやすくなります。

自分の業務の中で「複数のパターンに手作業で対応しているもの」があれば、そこへ条件分岐プロンプトを当てはめるところから始めてみてください。

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