「毎回同じ説明をプロンプトに書くのが面倒だ」「自分の仕事スタイルに合ったAIを使いたい」——そう感じたことはないでしょうか。
ChatGPTには「GPTs」というカスタムAI機能があります。それと同じ概念を、Google Geminiでも使えることをご存じでしょうか。それが「Gems(ジェムズ)」です。
この記事では、Gemini Gemsの仕組みから作成手順、業務別の活用テンプレートまで、非エンジニアでもすぐに使いこなせるよう丁寧に解説します。

Gemini Gemsとは?何が変わるか
Gemini Gemsは、Google Gemini上で動く「自分専用AIアシスタント」を作れる機能です。2024年10月にGoogleが正式公開し、2025年以降はGemini AdvancedユーザーはもちろんGemini無料プランでも利用できるようになっています(執筆時点: 2026年10月)。
通常のGeminiは毎回「白紙の状態」から会話が始まります。Gemsを使うと、あらかじめ設定したペルソナ・役割・指示・文体・ルールを組み込んだAIが用意できます。
Gemini通常版とGemsの違い
| 比較項目 | 通常のGemini | Gems |
|---|---|---|
| 毎回の指示 | 都度入力が必要 | 設定済みのため不要 |
| 口調・文体 | 毎回指定 | Gems作成時に固定化 |
| 業務ルール | プロンプトに毎回追記 | Gems内に内蔵 |
| 利用のしやすさ | プロンプト知識が必要 | 呼び出すだけで使える |
一言で言えば、「AIの設定を保存して、いつでも呼び出せる」機能です。
Gemini Gemsの作成手順(ステップバイステップ)
1. Gemsを開く
Gemini(gemini.google.com)にアクセスし、左サイドバーの「Gems」をクリックします。初回アクセス時は「Gems を作成」ボタンが表示されます。
2. Gem の名前と説明を入力する
名前は自分が管理しやすい名称(例: 「メール校正アシスタント」「週報サポーター」)、説明は一言でGemsの用途を記述します。これは管理上の備忘録に過ぎないため、簡潔でかまいません。
3. 「指示」フィールドに役割と動作を定義する
Gemsの本体となる設定がここです。以下のポイントを含めて記述します。
・役割(ペルソナ): 「あなたは〇〇の専門家です」
・出力形式: 「箇条書きで返してください」「400字以内にまとめてください」
・禁止事項: 「専門用語は使わない」「断定的な表現を避ける」
・入力の受け取り方: 「毎回〇〇を教えてください」
指示テキストの記入例(コピーして使えます)
あなたは経験豊富なビジネスライターです。 ユーザーが書いたビジネスメールの下書きを受け取り、以下のルールで改善案を提示してください。 【ルール】 - 丁寧かつ簡潔な敬語に統一する - 件名の改善案を1つ提案する - 文章は1段落200字以内にまとめる - 修正理由を「修正ポイント」として箇条書きで最後に記載する - 全体の文字数は元の±20%以内に収める 出力形式: 【改善後の本文】 (改善後のメール全文) 【修正ポイント】 ・(修正点1) ・(修正点2)
4. 「保存」してGemsを完成させる
画面右下の「保存」ボタンをクリックすると、Gemsが保存されます。以後はサイドバーの「Gems」一覧から呼び出すだけで、設定済みのAIとして使えます。
5. Gemを使ってみる
Gemsを選択して会話を開始すると、設定した指示が自動的に適用された状態でGeminiが返答します。追加プロンプトは不要で、下書きメールをそのまま貼り付けるだけで改善案が出てきます。
業務別のGems活用例(Before/After)
【活用例1】営業メール改善Gems
設定した指示: 商談後の御礼メールに特化した文体修正AI。社名・担当者名・次のアクションを含む型を固定。
Before(課題): 毎回「丁寧に書いてください。御礼メールです。〇〇社向けです」と入力してからGeminiに下書きを依頼していた。プロンプトを書く手間と微調整の往復で5分~10分かかっていた。
After(Gems導入後): 「御礼Gems」を開いて商談内容を貼り付けるだけ。返答が即座に整形されて出てくる。1分以内に完成する。
【活用例2】週報サポーターGems
設定した指示: 一週間の業務メモを箇条書きで入力すると、上司向けの週報フォーマット(今週の実績・課題・来週の予定)に整形して出力するAI。
Before: 週報フォーマットをWordファイルから毎週コピーし、Geminiに「これに合わせて整形して」と指示していた。
After: 「週報Gems」に今週のメモをそのまま投げると、フォーマット通りに整形された週報が30秒で完成する。
【活用例3】社内FAQ回答下書きGems
設定した指示: 社内規程や就業規則の概要をGems指示フィールドに記載し、「従業員からの質問に回答する人事担当者として答える」よう定義。
Before: 社内規程PDFを毎回Geminiに貼り付け直してから質問に答えさせていた。
After: Gemsを開いて質問文を貼るだけで、規程ベースの回答ドラフトが出力される。
なお、ChatGPTにも同様の「GPTs(カスタムGPT)」機能があります。2つの違いと使い分けについては、ChatGPTのGPTs(GPTストア)とは|カスタムAIを5分で作って業務を自動化する入門ガイドも参考にしてください。
Gemsがうまく動かない時の対処法
【問題1】指示通りの出力にならない
Geminiのシステムプロンプト処理は会話の流れで上書きされることがあります。対処法は2つです。
・指示を箇条書きに変える: 長い段落文より、番号や箇条書きで書いた指示のほうが正確に処理される傾向があります。
・「必ず〇〇してください」と強調語を入れる: 「常に」「必ず」「絶対に」などの強調語は出力を安定させる効果があります。
【問題2】会話が長くなると設定が崩れる
LLMの特性として、会話が長くなると初期設定の優先度が下がることがあります。新しい案件は新しい会話(チャット)として開始するのが最もシンプルな対策です。1つのGemsに複数の案件を詰め込まず、案件ごとに会話を分けましょう。
【問題3】Gemsが表示されない・作成できない
Googleアカウントの種類や所属する組織のポリシー設定により、Gemsが利用制限されている場合があります。Google Workspaceを企業で利用している場合、管理者がGems機能をオフにしていることがあります。IT部門に確認してみましょう。
【問題4】Gemsに機密情報を入れてもよいか
指示フィールドに記載した内容はGoogleのサーバーに保存されます。Geminiの利用規約の範囲では学習に使われない設定も可能ですが、社外秘の顧客情報や個人情報を指示フィールドに直接書き込むことは避けてください。一般的な業務フローや役割定義の範囲にとどめるのが安全です。
Geminiのデータ取り扱いポリシーや、社外AIサービスへの情報入力基準については、社外AIサービスに社内情報を入力してよい基準|データ分類と入力判断フローで守りながら使う実践ガイドも参考にしてください。
Gemini Gemsを使う前に知っておきたい制限
・Gemsの数: 作成できるGemsの数はプランによって上限があります(執筆時点: Gemini Advancedは上限が高く、無料プランは上限あり)。
・ファイルのアップロード: Gemsの指示フィールドにはテキストのみ記載できます。PDFや資料を常にGemに内蔵する機能は現時点では限定的です(Gemini Advancedのファイルアップロードは会話単位)。
・公開・共有: 作成したGemsは基本的に自分専用です。チームへの共有機能はGoogle Workspaceの管理機能と連携する形での展開が一般的です。
・インターネット検索との組み合わせ: Gemsを使っても、Geminiの検索連携機能は引き続き有効です。最新情報の調査+Gems定義の指示、という組み合わせが使えます。
Gemsを効果的に育てる3つのコツ
コツ1: 最初は「役割」だけに絞って作る
初心者がやりがちな失敗は、最初から細かいルールを詰め込みすぎることです。まず「あなたは〇〇の専門家です。ユーザーの依頼に答えてください」という最小構成で作り、使いながら少しずつ追記するほうが精度が上がります。
コツ2: 出力フォーマットを「テンプレート」として貼り付ける
「フォーマット通りに出力して」と言うより、実際の出力形式(見出し・箇条書きの構造)をそのまま指示フィールドに貼った方が精度が高くなります。「こういう形で出してほしい」という完成形を見せることが重要です。
コツ3: 定期的に見直して指示を更新する
業務フローが変わったり、出力に違和感を感じたりしたらGems指示の見直しタイミングです。1ヶ月に1回、指示フィールドを読み直して改善する習慣をつけると、Gemsがどんどん自分仕様に育ちます。

まとめ: Gemini Gemsで「毎回同じ説明」から卒業する
| やりたいこと | Gemsの設定ポイント | 効果 |
|---|---|---|
| ビジネスメールを改善したい | 文体・修正ルール・出力フォーマット | 貼るだけで整形完了 |
| 週報を素早く仕上げたい | 週報テンプレートの型をGems指示に記載 | メモを入れるだけで週報化 |
| FAQ対応を効率化したい | 社内規程の概要+回答担当者ペルソナ | 規程ベースの回答ドラフト即出力 |
| 毎回プロンプトを書くのが手間 | 繰り返す指示をすべてGemsに内蔵 | 呼び出すだけで使える専用AI完成 |
Gemini Gemsは、「AIに毎回同じ説明を書く手間」を根本から解消する機能です。最初のGems作成は5分もあれば完了します。まずは自分が毎回繰り返している指示を1つ選んで、Gemsに設定してみてください。
Geminiの基本的な使い方から学びたい方は、Geminiの始め方と使い方|Google AIを仕事で活用する実践ガイドもあわせてご覧ください。
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