「デザインはできないけれど、ブラウザで動く画面を自分で作りたい」「ちょっとしたLPやダッシュボードのモックをエンジニアに依頼する前に手元で試したい」—— そう感じたことはないでしょうか。生成AIの進化で、プロンプトを入力するだけでHTML/CSSどころかReactコンポーネントまで生成できる時代になりました。
その代表格が、Next.jsの開発元が提供する v0 by Vercel です。この記事では、非エンジニアの会社員や中小企業の担当者が v0 を使って、プロンプトから実際に動くUIコードを生成し、業務で使える画面を作るまでの流れを解説します。初期設定、プロンプトの書き方のコツ、生成結果の編集、そして現場で起こりがちな「うまくいかない時」の対処法まで、ひと通り押さえられる内容です。

v0 by Vercel とは?何が変わるのか
v0(ヴィーゼロ)は、Next.jsやVercelというWebサービスを提供しているVercel社がリリースした、生成AIによるUIコード自動生成ツールです。自然言語でやりたいUIを指示すると、React + Tailwind CSS + shadcn/ui を前提とした、そのままコピペで使えるコンポーネントコードを返してくれます。
従来、Webの画面を作るには「デザインをFigmaで描く → エンジニアがHTML/CSSに起こす → Reactコンポーネントに落とす」という何段階もの工程が必要でした。v0はこの工程を圧縮し、「頭の中のイメージを言葉にするだけで、ブラウザで動く画面が出てくる」という体験を提供します。
特徴を整理すると次のとおりです。
・プロンプト駆動: 「ダッシュボード画面、左サイドバーにメニュー、右上にユーザーアバター」といった日本語の指示だけでUIが生成される
・モダンな技術スタック前提: React・Tailwind CSS・shadcn/uiで出力されるため、現場のフロントエンドにそのまま組み込みやすい
・反復的な調整: 生成後も「ボタンを緑色に」「表に並び替え機能を追加」など追加指示で修正できる
・Vercelへのワンクリック公開: 生成した画面をそのままホスティングし、URLで共有できる
v0 を始めるための準備(ステップバイステップ)
1. アカウント作成とログイン
ブラウザで v0.dev にアクセスします。Vercelアカウント(GitHub・GitLab・Bitbucket・メールのいずれか)でサインアップすれば、すぐに利用を開始できます。無料プランでも一定回数のメッセージ送信が可能ですが、本格的に使う場合は有料プランへのアップグレードを検討しましょう(料金は執筆時点の2026年4月時点、Premium プランが月額20ドル前後)。
2. 画面の構成を理解する
ログイン後のホーム画面は、中央にプロンプト入力欄、左サイドに過去のチャット履歴、右上にアカウント設定という構成です。画面は大きく分けて次の3つの役割を持ちます。
・プロンプト欄: やりたいUIを自然言語で指示する
・プレビュー欄: 生成結果がリアルタイムに画面として表示される
・コードタブ: 生成されたReactコードを確認・コピーできる
3. 最初のプロンプトを投げる
v0 のプロンプトは、日本語でも問題なく通ります。最初は以下のような具体的な指示から試してみるとよいでしょう。
BtoB SaaSの管理画面ダッシュボードを作ってください。 ・左サイドバーに「ダッシュボード」「顧客一覧」「請求」「設定」の4つのメニュー ・メインエリアは2×2のグリッドでKPIカード(売上、契約数、解約率、MRR) ・右上にユーザーアバターと通知アイコン ・全体はモダンでフラットなデザイン、紫系のアクセントカラー
送信すると、30秒ほどで実際に動くダッシュボード画面のプレビューと、Reactコンポーネントのコードが同時に出力されます。
実務で使える具体的なプロンプト術
1. 「画面の目的」から書く
いきなり部品の指示から始めるより、「誰が、何のために使う画面か」を冒頭に書いた方が、v0 は文脈を踏まえた自然なレイアウトを返します。
# 目的 中小企業の経理担当者が、月次の請求書送付状況を一覧で確認するための画面 # 必要な要素 ・請求書ごとのステータス(送付済み/未送付/入金済み)が一目でわかる ・企業名・金額・送付日・期日の4列のテーブル ・ステータスはバッジ形式で色分け(緑=入金済み、黄=送付済み、赤=未送付) ・上部に「今月の合計金額」と「入金率」のサマリーカード
2. デザインの「雰囲気」を具体的な言葉で伝える
「おしゃれに」「かっこよく」といった抽象的な指示より、参考になりそうなサービス名や具体的なデザイン用語を使うほうが精度が上がります。
・NG: おしゃれなランディングページを作って
・OK: Notionのトップページのような、白基調でミニマルなランディングページ。見出しは大きめ、本文は読みやすい行間、アクセントカラーは紫
3. 反復的に追加指示で磨き上げる
v0 の真価は「一発で完璧なものを出す」ではなく「会話を重ねて近づけていく」点にあります。生成結果を見て、気になる部分だけを指示して修正していきましょう。
KPIカードの数字のフォントサイズを少し大きくしてください。 また、カード全体にほんのり影を付けて立体感を出してください。 サイドバーの背景色は、もう少し濃いグレーに変更してください。
このように「修正したい箇所」「修正内容」をペアで書くのがコツです。「全体的にかっこよく」のような指示はブレるため避けましょう。
生成したコードを業務で活かす方法(Before/After)
Before: デザイン外注に2週間+コーディング外注に1週間
従来、社内向けの管理画面モックを作ろうとすると、デザイナーに依頼してFigmaで作画してもらい、さらにエンジニアにHTMLに起こしてもらう必要がありました。かかる費用は数十万円、納期は3〜4週間。それでも「ちょっと見た目を試したいだけ」の段階では過剰投資になりがちです。
After: v0 で30分以内にブラウザで動くモックを用意
v0 を使えば、会議の合間に「こういう画面で進めたい」という叩き台を30分以内に作れます。できあがったURLを関係者に共有すれば、ドキュメントでの説明よりはるかに早く合意形成できます。
実際の活用シーンの例を挙げると次のとおりです。
| 用途 | v0 が効くシーン | 出力の扱い方 |
|---|---|---|
| 社内向け管理画面の提案 | IT部門に「こんな画面を作りたい」と説得するためのモック作成 | URL共有+スクショで合意形成 |
| 営業資料のデモ画面 | 提案書に載せる架空の画面イメージの作成 | スクリーンショットを資料に貼付 |
| 社内LPのたたき台 | イベント告知ページや社内ポータルの初期デザイン | Vercelに公開して社内にURL共有 |
| エンジニアへの仕様書代替 | 文章でUIを説明する代わりに、動く画面で仕様を伝える | Reactコードを渡し実装の参考に |
うまくいかない時の対処法
1. プロンプトが曖昧で出力がブレる
「モダンなサイト」「きれいなデザイン」といった形容詞だけだと、毎回違うテイストの出力になります。必ず「目的」「想定ユーザー」「必要な要素」の3点セットをプロンプトに含めてください。それでもブレる場合は、先に紹介したように参考にしたい既存サービス名を明記すると安定します。
2. 日本語のレイアウトが崩れる
v0 は英語圏で訓練されているため、長い日本語ラベル(例: 「お問い合わせフォームはこちら」)でレイアウトが崩れることがあります。この場合は「ラベルの改行禁止」「ボタン幅を自動調整」などを明示的に指定しましょう。
3. コードを自分のプロジェクトに組み込めない
v0 の出力は React + Tailwind CSS + shadcn/ui を前提としています。既存のWordPressサイトや普通のHTMLページに直接は貼れません。次のような使い分けが現実的です。
・モック・デモ用途: v0のプレビューURLをそのまま共有する(開発環境構築不要)
・本番導入: エンジニアに「v0で生成したコードをベースに実装してほしい」と依頼する
・HTMLに変換したい: 生成コードをChatGPT・Claudeに貼り、「このReactコンポーネントを純粋なHTML+CSSに変換して」と依頼する
4. AI任せにしすぎない
v0 の出力は、あくまで「それらしく見える画面」です。実際に業務で使うには、文言のチェック、アクセシビリティ、入力バリデーション、API接続といった部分を人間が担う必要があります。「AIが万能」と思い込まず、叩き台として割り切って使うのが正解です。
他のAIコーディングツールとの使い分け
v0 はUI生成に特化していますが、コーディング支援のAIツールは他にも多数あります。状況に応じて使い分けましょう。
| やりたいこと | おすすめツール | 難易度 |
|---|---|---|
| UI/画面のモック作成 | v0 by Vercel | 低(非エンジニアOK) |
| 既存コードベースの改修 | Cursor / Claude Code | 中 |
| エディタ内でのリアルタイム補完 | GitHub Copilot | 中 |
| ブラウザだけで動くプロトタイプ | Bolt.new / Replit Agent | 低〜中 |
より詳細な比較は姉妹サイト DXマスター.JP でも解説していますので、DX推進の文脈でAIを位置づけたい方は併せてご覧ください。
本記事のまとめ
v0 by Vercel は、非エンジニアでもプロンプトだけで実際に動くWebの画面を作れる画期的なツールです。本格的な本番開発にそのまま使うのは難しくても、モック作成・仕様共有・提案資料のビジュアル化といった用途では、デザイン外注の時間と費用を数十分の1に圧縮できます。
まずは v0.dev にアクセスして、「自分が欲しい画面」をひとつ言葉にしてみてください。プロンプトのコツは「目的・想定ユーザー・必要な要素」の3点を明示すること。生成結果は会話を重ねて磨き上げれば、驚くほどのスピードで実用的なUIへと近づきます。
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